認知機能の重要性
高齢者施設や病院、障害者施設。様々な所で嚥下機能評価を行うのが言語聴覚士。
わたしが大事にしている機能のひとつに認知機能を挙げる。
どんなに歯や義歯があって、咀嚼機能が良好で、水分もトロミなしで飲み込める嚥下機能があっても
認知機能が低下していたらそれだけで誤嚥のリスクを高める。
簡単に言うと、嚥下や認知機能に全く問題のない人が眠っているときに、口に水を入れる。
まれに「ごくっ」と飲める人はいると思うが、だいたいむせると思います。
水や食物は、それを認知して初めて嚥下動作が開始される。
なので、認知機能はとても重大となります。
もっと簡単に言うと、どんなに性能のいい車であっても、居眠りしたら事故るし、重度認知症の人が乗っても事故る。なので咀嚼やら飲み込みやらの前に認知機能が重要になる。
その入り口として、認知機能が低下した人で咀嚼と嚥下のタイミングを誤る方がいる。
正しい咀嚼
その中でも今日は咀嚼しながら嚥下してしまう方にピックアップします。
まず。咀嚼。これは必ず閉口したまましなければならない。
咀嚼中に誤嚥する人も多く問題となる。
左がOK。左がNG。くちゃくちゃ食べる人の最上級でしょうか。認知機能が低下するとこの開口した
瞬間に嚥下が開始される人がいます。医療や介護の現場で働いている人はよく目にすると思います。
これはじつは超危険で。単純に水を、それが面倒なら唾液を開口したまま飲んでください。
ほら。難しいでしすよね?開口したまま飲むように人体はできていません。
閉口にはどのような意味があるでしょうか?
閉口咀嚼の意味
そこには自分のタイミングで飲むという重要な役割があります。
コップに水を入れストローを指し、指で押さえるとストロー内に水がとどまります。
指を話すと水は下に落ちます。
ストローを指で押さえ水をとどめます。その状態でストローに横から圧をかけると
水は下に落ちます。
この横からの圧が嚥下です。ストローの指が閉口機能です。
自分のタイミングで飲むには閉口して圧をかけ口腔内に食物をとどめなければなりません。
指導できる人には必ず口を閉じて咀嚼や嚥下をするように促してください。
逆に指導できない方は、嚥下しやすい食形態に変更したり、安全な姿勢にしたり環境を整える必要があります。
食形態を変更したり姿勢を整えると「食べにくい」と話す人がいます。
安全を考慮しすぎて食事量が減ることもあります。最悪全く食べなければ死にます。
どこに重点を置くのか。また、患者や家族と話し合い決めるのは大事となります。
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